ポール=アグリコル・ジュナン作曲「ヴェニスの謝肉祭」作品14の 山元版と技術練習です。
山元版は作曲者ジュナンのオリジナル版にブレス、ダイナミクス、アクセント、テヌート、速度表示、発想記号などを加えてあります。
この楽譜を使用される場合は、必ずオリジナル版と比較して、私が付け加えた意図を理解してください。
これは表現のための、ひとつの方法に過ぎません。
他にも良い方法が、たくさんあるはずです。
参考程度にご覧頂ければと思います。
以下は技術練習になります。
具体的な攻略方法の提案です。
【1a】【1b】などのリハーサルナンバーは、それぞれの部分の効果的な練習方法です。
【1】⇔【1a】、【1】⇔【1b】のように【楽譜通りの形】と【変奏】を行き来して練習してください。
ひとつのリハーサルナンバーに複数のエクササイズ(繰り返し記号)がある場合は、それぞれのエクササイズの最後の音と次のエクササイズの最初の音が同じになっておりますので、繰り返しをせずに繋いで練習することが可能です。
それぞれのエクササイズを4回以上吹いて技術を定着させた後に、最後のエクササイズ→1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ→2つ前のエクササイズ+1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ、といった「さかのぼり練習」も大変効果的です。
【1a】【1b】アーティキュレーションを目立たせるためのリズム練習。シングルタンギングで吹いても構いませんが、このようにダブルタンギングを使うとアッチェレランドが楽にできます。
【1c】分割繰り返し練習。それぞれの繰り返し記号を丁寧に何回も練習した後に繰り返し記号をはずして1回ずつ吹きます。
【2a】音域が低くなってきても、しっかり鳴らすためのリズム練習。
【3a】メロディラインを目立たせるためのリズム練習。
【3b】~【3e】ディミヌエンドを確実に行うための練習。
【3f】~【3k】リズム練習。
【4a】リズム練習。
【5】最後のトリルの複前打音は正しい運指で良い音質、音程を強調する。最初からトリルキーを使うと音質、音程の悪さが目立ってしまう。
【5a】【5b】まずレガートで音域が低くなってきても、しっかり鳴らす練習をして、その後アーティキュレーションを付ける。
【6a】10連符は4連符+6連符で練習します。
【6b】メロディライン。
【6c】~【6e】リズム練習。メロディラインを目立たせる必要はありませんが、意識するとスムーズに吹く事ができます。
【7a】~【7c】上行の音階の折り返しリズム練習。
【7d】~【7f】ディミヌエンドの練習。
【9a】まず、レガートで均等に鳴らす練習を行う。
【9b】低い音も均等に鳴っているかを確認する練習。
【9c】2つずつのスラーは確実にディミヌエンドで吹いてアーティキュレーションを強調する。しかし、それぞれの2つ目の音小さく吹いても【9c】のように短く吹いてはいけない。
【9f】【9g】連続する2つずつのスラーで長いディミヌエンドやクレッシェンドを行う時には、このように練習します。
【11a】【11b】5連符の最初の音を確実に良い音質で発音するための練習。フォルテとピアノの両方で練習します。
【11c】難しいアルペジオではありませんが、奏法の安定とF3の音程を確認します。
【13a】【13b】滑らかに吹くためのリズム練習。
【14a】エコーのための折り返し練習。まずフォルテで練習した後にパワーを落とさずに息の量だけを減らしてピアノで吹きます。
【14b】~【14e】アーティキュレーションのためのリズム練習。
【14f】リズム練習。
【15a】スラーの最初の音をハッキリ長めに吹くためのリズム練習。シングルタンギングで吹いても構いません。【16】も同様に練習します。
【16a】メロディライン。
【16a】メロディラインを目立たせるためのリズム練習。
【16c】~【16f】大きな音程間隔のアーティキュレーションを確実にハッキリ吹くためのリズム練習。
【17a】ターンの5連符が正確に8分音符に入っている事を確認するための比較練習。
【19a】分割練習。
【19b】【19c】折り返し練習。
【21a】~【21d】ピアニシモのための比較練習。フォルテと同じ構えの圧力、息の圧力のままで、唇は柔らかくして息の量だけを減らしてピアニシモを吹きます。決してリラックスしてはいけません。
【21e】メロディライン。
【21g】メロディラインを目立たせるためのリズム練習。それぞれのスラーを確実にディミヌエンドで吹きます。
【23a】下行の音階の分割練習。
【23b】リズム練習。
【24a】【24b】全てのトリルを同じ個数入れるための練習。まず6連符で練習します。
【24c】~【24f】トリルを16分音符に正確に入れるための比較練習。
【25a】【25b】連続するトリルの最初の音符を正確にタンギングするための練習。C3⇔D3のトリルは、もちろんトリルキーを使います。
【25c】~【25f】前述と同様の練習。
【26a】リズム練習。
【26b】【26c】音域が低くなってきても、しっかり鳴らす練習。まずスラーで練習した後にアーティキュレーションを付けます。
【26b】【26c】リズム練習。フォルテを強調します。
【27a】リズム練習。
【29a】~【29k】スラーの付いたオクターヴの練習。
【30a】付点8分音符のうちテヌートが付いているものはメロディラインなのでヴィブラートを付けて良く鳴らします。
【30b】アラン・マリオン氏(元・パリ音楽院教授)は「トリプルタンギングをたくさん練習しなさい。なぜならダブルタンギングより難しいので、トリプルタンギングを練習する事によりダブルタンギングが易しくできるようになる」と教えていました。
メトロノームを使って、ゆっくりしたテンポから根気よく練習して、次第にテンポを上げていくとだれでも3連符=192ぐらいまで可能になります。
そうすると同じテンポでダブルタンギングの4連符を楽に吹く事ができます。
これは凄い事です。
【31】【32】も同様にトリプルタンギングで練習します。
【32a】【32b】最後のダブルタンギングを均等に吹くためのリズム練習。