フルート上達の秘伝

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Daily Exercises No.3-II Scales in All Resisters

第3番の2は、全ての調の音階の全体練習です。
No.3-1を丁寧に練習していれば、さほど難しくなく吹く事ができます。
No.3-1を練習しない場合は、最初に【B】と【C】を練習すると【A】が簡単に吹けます。

B♭はブリチャルディキーもAisレバーも使わず、右手人差し指で吹きます。

 

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Scales in All Resisters p.1

 

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Scales in All Resisters p.2

 

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Scales in All Resisters p.3

 

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Scales in All Resisters p.4

 

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Scales in All Resisters p.5

 

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Scales in All Resisters p.6

 

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Scales in All Resisters p.7

 

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Scales in All Resisters p.8

 

以下はC Majorを例にとって練習の手順を説明していきます。


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Practice Procedure in C Major for Scales in All Resisters p.1

 

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Practice Procedure in C Major for Scales in All Resisters p.2

 

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Practice Procedure in C Major for Scales in All Resisters p.3

 

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Practice Procedure in C Major for Scales in All Resisters p.4

 

まず、長い音階を分割して難しい部分を見つけます。
それぞれの繰り返し記号の中を4回以上吹いてみてください。
たぶん誰もが【1】〜【3】が難しいと思うでしょう。
【4】は………実は、ここも正確に吹けない人が結構多いのです。

では【1】から順番に練習していきましょう。
【1】は上行の音階ですが、一方通行を【1a】のように最も高いE3から折り返して、さらに繰り返すと、一方通行の時と逆の指の動きも練習する事によって効率が上がります。
これに【1b】〜【1e】のようにリズム変奏をプラスすると、さらに効率が上がります。
ここでは『6つの音のためのリズム変奏』Daily Exercises No.10 Rhythmic Variations - フルート上達の秘伝 (hatenablog.com)①②④⑤を応用したエクササイズになっています。
これらを丁寧に練習した後に【1】に戻って吹いてみると、驚くほど簡単に感じるはずです。
これだけでも十分かもしれませんが【1g】から、さらに有効な練習方法を示しておきます。
【1a】を2個目のG2から吹くと【1g】になります。吹いてみると別のエクササイズを吹いているように感じませんか?
これにリズム変奏をプラスすると【1h】【1j】になります。
『6つの音のためのリズム変奏』にある他のリズムパターンでも練習してみてください。
【1k】〜【1q】も同様に練習すると、元の形【1】は簡単に吹けてしまいます。
どうでしょうか?
この練習を始めた時よりも、はるかに自信を持って吹けるようになっているのではないでしょうか?
「何だか面倒くさい練習だな」と思う人もいるかもしれませんが、実は大した時間はかかりません。


最も難しいのが【2】です。
まず【2a】【2b】のように、ゆっくりとしたテンポで分割練習します。
それぞれの繰り返し記号は4回以上吹いてください。
最も高い音のB♮3は右手小指を離すのが正しい運指で、その方が音質、音程も良いのですが、このように速く吹かなければならない時は押さえたままで構いません。
次の目標は【2c】の折り返し循環練習です。
すぐには不可能ですので【2d】のように分割練習します。これも、それぞれ4回以上吹いてください。
慣れてきたら【2e】【2f】のようにリズム変奏を加えます。
次に1つ目と2つ目、3つ目と4つ目を結合して練習します。
さらに、それぞれを結合すると【2h】が吹けるようになります。これを循環させるには【2j】のように2つ目と3つ目、4つ目と1つ目の結合練習を行います。
もちろん【2m】〜【2p】のようなリズム変奏も行なってください。
これで【2c】が吹けるようになりました。

次に【3】の練習に取りかかります。
ここも【3a】のように一方通行だけでなく折り返しで練習します。
これまでに練習した分割練習+リズム変奏で吹けるようになります。

●足部管の操作も正確に

【4】は正確に吹けていますか?
【4a】のようにE♮1までは右手小指を押さえてD1で離しますが、ここで小指を早めに離してしまう人が結構多いです。
必ず正しい運指で吹いてください。
【4b】【4c】で正しい指使いを練習しましょう。
【4d】の折り返し循環練習を行う時も正確に小指を動かさなくてはなりません。
【4】で小指を早めに離してしまう原因は小指の操作が不得手なためです。
さらに、その原因は小指のフォームが悪い事によります。小指が伸びきっていると小指を上手く操作する事ができません。

後で小指のトレーニング方法を紹介します。

 

 

ここからはA♭ majorを例に説明していきます。
まず、このような基礎練習ではB♭の時にブリチャルディキーやAisレバーは使わないで右手人差し指を使います。
ブリチャルディキーやAisレバーは指使いを易しくするための便利なキーなので基礎練習では楽をしないで吹きます。
また、E♭2では必ず左人差し指を離してください。良い音で練習する事は正確で美しい演奏につながります。
また、指が速く動かすと楽器の構えが不安定になって音が悪くなりやすいので、右手親指の位置をチェックして、楽器を構えるために右手小指に依存する事のないように心がけてください。

 

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Practice Procedure in A flat Major for Scales in All Resisters p.1



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Practice Procedure in A flat Major for Scales in All Resisters p.2

 

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Practice Procedure in A flat Major for Scales in All Resisters p.3

 

全体練習の【A】、高い音域の部分練習【B】、足部管を正しい運指で操作する【C】がセットになっています。
全体練習【A】の前に難しい【B】と【C】を練習してしまえば【A】は比較的スムーズに吹けるようになります。

まず【B】を練習していきましょう。
譜例2でも練習したように【1a】を指が迷わないように、ゆっくり部分繰り返し練習をします。
最低でも、それぞれ4回は吹いてください。
高いB♭3は前述のB♮3と同様に右手小指を離すのが正しい運指ですが、ここでは押さえたままで構いません。
次に【1a】で細かく分割したものを【1b】で少しつないで、循環させるために【1c】も練習します。
それぞれ良く練習したら【1d】は簡単に吹けるはずです。

【2】では【B】にある12個の音符を4連符✕3とみなして分割練習します。
『4つの音のためのリズム変奏』の②を利用すると【2a】になります。
他のリズムパターンでも練習してください。

【3】では【1】の2個目の音、E♭3からスタートして最初の音に戻って決ます。
こうすると同じ動きのはずですが、何だか別のエクササイズを練習しているような感覚になります。
【3a】のような分割リズム変奏、【4】【4a】のように4連符とみなしての練習も、より効果が上がります。
同様に【5】〜【7】のスタートをずらした練習をリズム変奏したり4連符とみなして練習すると自信が付きます。

【8】からは足部管を操作する練習になります。
指のフォームに気をつけて【8a】【8b】を、ゆっくりとしたテンポで練習します。
最初から上手く吹ける人などいません。
手首を動かさず、小指だけを動かして練習します。

最後に【A】を通します。
最初は譜例2のように分割練習を行うのが良いと思います。

●調性のローテーションについて

1日に全ての調を練習する事は不可能ですし、その必要もありません。
最初の1週間で1つの調を丁寧に自信がつくまで練習して、翌週に次の調に替えましょう。
そうすると5週間で全ての調を練習する事ができます。
その後は3日ごとに次の調に進みます。
5✕3ですから2週間と1日で5つの調を練習できますね?
あるいは「月・火・水」「木・金・土」で2つの調を練習して、日曜日は2つのうち難しいと感じた調を復習しても良いです。
その後は「月・火」、「水・木」、「金・土」で日曜日は、どれかを復習。
その後は毎日、調を替えて練習します。
ここまで来ると、いつでも、どの調でも吹けるようになっていると思います。

 

 

音階練習とは別に、小指のための日課練習を行いましょう。
丁寧に練習できるように、もう一度リズム変奏をエクササイズの上に示しておきました。
毎日、それぞれのエクササイズを、ゆっくりとしたテンポで、しかし速い動きで練習してください。これができないと小指を上手く滑らせる事ができません。それぞれのエクササイズを手首を動かさずに小指だけを動かして吹いてみます。

(THE FLUTE ONLINE『山元康生の吹奏楽レーニング 第8回』より加筆修正転載)

 

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