J.S.バッハ作曲「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ」第3番、Allegro assaiによるダブルタンギングのエチュードです。
タンギングをたくさん練習する事によりタンギングの上達だけでなく音質の向上など基本奏法の改善に有効です。
以下に「14b」として具体的な練習方法を示します。
【1a】【1b】共に4分音符を入れて奏法の安定と音質を確認しながらの練習になります。ブレスはタイの後であれば、どこで取っても構いません。
タンギングが連続すると奏法が不安定になって音質が悪くなる傾向があります。
この方法で練習する事は奏法の安定性に極めて有効です。スタッカートが連続するエチュード…例えばJoachim Andersen作曲24 Studies op.15のNo.4a, 9a, 9b, 24やTeobald Boehm作曲24 Caprices op.26のNo.6, 10, Paganini作曲Herman編曲の24 Caprices No.5などにも応用できると思います。
日課練習としては、このエチュード全体を【1b】の形で吹き通すのが良いと思います。
【1c】以降は、それぞれの部分をより良く吹くための練習になります。
【1c】それぞれの音符を「t k 」と「k t」で吹くと発音の均一性と指との同期の練習になります。
【1d】ゆっくりのテンポから「k t k t」のタンギングで「t k t k」と同じ響きで吹けているかを確認します。
【2a】音の下降の練習です。
低い音を発音するのは単独で吹いた時よりも直前に高い音がある方が難しいです。
スラーで降りた時と同じ吹き方であれば、タンギングしても簡単に低音を発音できるはずです。
苦手意識で吹き方を変えていると上手く発音できません。
唇の柔軟性とお腹からの息の圧力を確認してください。
sfでは絶対にキーを叩いてはいけません。
キーを叩くのは現代音楽で作曲家の指示がある場合だけです。
キーを叩くと多少、音の立ち上がりが良くなりますが、楽譜にはない音がしてしまいます。
さらにパッドとキーメカニズムに悪影響があります。
良い奏法をしていればキーを叩かなくても低音はハッキリ発音できます。
コンサートでキーを叩くと「私は奏法が悪いので低音を上手く発音できません」と聴衆に宣言しているようなものです。
キーを叩く事はフルーティストにとって「恥」だと思ってください。
このような「恥知らずフルーティスト」はプロにも結構います。
このエクササイズは⇩の付いた休符の所で音がしないように次の指を準備してください。
【2b】【2c】メロディーラインを良い音質で吹くための練習。
付点8分音符と同じ音質でスタッカートが吹けているかを確認します。
【3a】下降して低音をハッキリ発音するための練習。
レガートで下降した音質と比較します。
【4a】この部分で最も低いG1を豊かに鳴らすためのリズム練習。
常にお腹を張って息の圧力を高い状態に保ちます。
【5a】【5b】メロディーラインを良い音質で吹くための練習。【2a】【2b】に同じ。
【6a】【6b】メロディーラインだけを吹いて良い音質を確認して、下降しても同じ音質で吹くように注意します。
【7a】同上。
【8a】低い音を良い音質で発音する練習。
⇩の所で次の指を準備する事。
決してキーを叩いてはいけません。
【8b】【8c】それぞれの低い音をダブルタンギングやトリプルタンギングで吹いて良い音質でスタッカートが吹けるように練習します。
【10a】下降して低音を発音する練習。
⇩で音がしないように次の指を準備します。
【10b】「k t」のタンギングで素早く下降する練習。
【10c】メロディーラインを良い音質で発音する練習。
【11a】以降も同様に練習してください。
この曲をコンサートなどで演奏する場合は、ある程度スラーを付けて演奏する事をおすすめします。以下を参照してください。