フルート上達の秘伝

短時間で最大の効果を上げる練習方法を公開しています

Honegger : Dance de la Chevre

アルテュールオネゲル作曲「めやぎの踊り」の 山元版と技術練習です。

山元版は作曲者オネゲルのオリジナル版にブレス、ダイナミクス、アクセント、テヌート、速度表示、発想記号などを加えてあります。

この楽譜を使用される場合は、必ずオリジナル版と比較して、私が付け加えた意図を理解してください。

これは表現のための、ひとつの方法に過ぎません。

他にも良い方法が、たくさんあるはずです。

参考程度にご覧頂ければと思います。

なお、出版元のSalabert版は時期によって臨時記号が違っています。

山元版は献呈者、初演者のルネ・ル・ロワの演奏に従っています。

一番下に、この曲を練習する前に行うウォームアップエクササイズを載せました。単調なロングトーンよりも楽しくて役に立つと思います。

 

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Honegger : Dance de la Chevre p.1

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Honegger : Dance de la Chevre p.2

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Honegger : Dance de la Chevre p.3

 

以下は技術練習になります。

具体的な攻略方法の提案です。

【1a】【1b】などのリハーサルナンバーは、それぞれの部分の効果的な練習方法です。

【1】⇔【1a】、【1】⇔【1b】のように【楽譜通りの形】と【変奏】を行き来して練習してください。

ひとつのリハーサルナンバーに複数のエクササイズ(繰り返し記号)がある場合は、それぞれのエクササイズの最後の音と次のエクササイズの最初の音が同じですので、繰り返しをせずに繋いで練習することが可能です。

それぞれのエクササイズを良く練習した後に、最後のエクササイズ→1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ2つ前のエクササイズ+1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ、といった「さかのぼり練習」も大変効果的です。

 

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Honegger : Dance de la Chevre Ex p.1

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Honegger : Dance de la Chevre Ex p.2

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Honegger : Dance de la Chevre Ex p.3

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Honegger : Dance de la Chevre Ex p.4

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Honegger : Dance de la Chevre Ex p.5

 

【1a】音質と小指の練習。E1は必ずE♭レバーを押さえる。小指のフォームが悪いと上手く吹けません。

【1b】音質と小指の折り返し練習。F♯1とF♮1では必ずE♭レバーを押さえる。

【1c】正しいなめらかな運指と音質のための練習。【1】に戻ってスタッカートやメゾスタッカートでも同じ音質で。

【2a】【2b】リズム練習。

【4a】【4b】リズム練習。

【5a】〜【5d】折り返しリズム練習。

【6a】〜【6d】リズム練習。

【8a】〜【8g】リズム練習。

【8h】【8j】レガートとスタッカートによる折り返し比較練習。どちらも同じ良い音質で吹く。

【8k】折り返し部分のリズム練習。

【8m】リズム練習。

 

Honegger Dance de la Chevre Warm-up p.1

 

Honegger Dance de la Chevre Warm-up p.2

 

Honegger Dance de la Chevre Warm-up p.3

 

Honegger Dance de la Chevre Warm-up p.4

 

Honegger Dance de la Chevre Warm-up p.5

 

【1】最初のフレーズの折り返し練習。ゆっくり響きを確かめながらfとpで練習する。pを練習する時にはfのパワーで息の量だけを減らして吹く事。常に正しい音程である事をチェックする。

【2】B1⇔E2のレガートを確認する。息の圧力が高くないとレガートが難しくなります。息の流れを細くしないように気をつける事。

【3】初めてのリズミックなテーマは、まずレガートの折り返し練習で響きを確認します。

【4】レガートとテヌートでタンギングを付けても良い響きであるかを確認します。

【5】付点のリズムでレガートとの響きを比較します。

【6】同様にスタッカートでもレガートと同じ音質である事を確認します。常にお腹を張って息の圧力を高める事が有効です。

【7】速く吹く前に、ゆっくり吹いて良い響きである事を確認します。

【8】下降の半音階の分割折り返し練習で均一な響きである事を確認します。

【9】響きの確認。

【10】レガートとの響きを確認します。

【11】下降の音形でディミヌエンドしないように注意します。長いレガートで吹く時と吹き方を変えなければC1は豊かな音で確実に発音できるはずです。

【12】ゆっくり吹いて響きを確認します。

【13】上行の音形も折り返しでゆっくり吹いて響きを確認します。

【14】【15】折り返しで響きを確認します。

【16】折り返しでレガートと響きを比較します。

【17】ディミヌエンドの練習。クレッシェンドと比較します。唇を変化させるとディミヌエンドの最後で響きが悪くなります。常に息の圧力を高い状態に保つ事。

【18】柔軟に吹くための折り返し練習。

【19】レガートで練習して響きを確認した後に楽譜通りのリズム、アーティキュレーションで練習します。

【20】響きの比較練習。

【21】~【23】響きのための折り返し練習。

【24】メロディーラインを意識しながら良い音質で吹くための比較練習。

【25】良い音質、良い音程で吹くための折り返し比較練習。

【26】下降の音形の分割折り返し練習。

【27】音域が低くなってきた時にディミヌエンドしないよう息の圧力を利用する練習。

【29】~【31】難しい低い音域でタンギングする練習。レガートと吹き方を変えなければ比較的簡単に吹く事ができます。

【32】C1の発音の確認と、それに続くタンギングの練習。

【33】ディミヌエンドの練習。

【34】【35】柔軟に吹くための折り返し練習。

【36】良い音質でpで吹くための練習。決してリラックスして吹いてはいけません。

【37】低い音域でのリズミックなアーティキュレーションの練習。fのパワーで吹きます。

【38】最後のディミヌエンドの練習。常にディミヌエンドするのではなく、階段状に音量を下げていきます。聴いている人は自然なディミヌエンドに聴こえます。
C1の指でハーモニクスを吹くのは危険ですので、左手親指を離して吹きます。聴衆もコンクールの審査員も絶対に気づきません。