ケーラー作曲「12の中程度の練習曲」作品33-2、第10番の 山元版と技術練習です。
山元版は作曲者ケーラーのオリジナル版にブレス、ダイナミクス、アクセント、テヌート、速度表示、発想記号などを加えてあります。
この楽譜を使用される場合は、必ずオリジナル版と比較して、私が付け加えた意図を理解してください。
これは表現のための、ひとつの方法に過ぎません。
他にも良い方法が、たくさんあるはずです。
参考程度にご覧頂ければと思います。
以下は技術練習になります。
具体的な攻略方法の提案です。
【1a】【1b】などのリハーサルナンバーは、それぞれの部分の効果的な練習方法です。
【1】⇔【1a】、【1】⇔【1b】のように【楽譜通りの形】と【変奏】を行き来して練習してください。
ひとつのリハーサルナンバーに複数のエクササイズ(繰り返し記号)がある場合は、それぞれのエクササイズの最後の音と次のエクササイズの最初の音が同じになっておりますので、繰り返しをせずに繋いで練習することが可能です。
それぞれのエクササイズを4回以上吹いて技術を定着させた後に、最後のエクササイズ→1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ→2つ前のエクササイズ+1つ前のエクササイズ+最後のエクササイズ、といった「さかのぼり練習」も大変効果的です。
冒頭のターン及び後打音は【1a】または【1b】のように演奏するのが一般的だと思います。
【1c】の可能性もありますが、このテンポにはふさわしくないと思います。
【2】は【2a】または【2b】の譜割りが一般的でしょう。
【3】6連符は急がないように。
【3a】Fにフェルマータがあり、次の音符にはありません。このようにカウントすると正しいリズムで演奏できます。
【4a】E2が短くならないように。ヴィブラートを付けて吹くように意識すると良く響かせる事ができます。
【4b】ターンの譜割り。
【5】フォルテのG2からのスラーはケーラーのオリジナルよりも、こちらの方が良いと思います。
【5a】メロディライン。
【5b】ヴィブラートを付けて短くならないように吹きます。
【6】ターンの譜割りは【1a】【1b】【2a】【2b】を参照。
【7a】フォルテとピアノの比較練習。ピアノではフォルテのパワーで息の量だけを減らして良い音質と音程を維持する。
【7b】〜【7d】スビットピアノの練習。フォルテとピアノの間でブレスを取らない方が難しい。
【7e】A3でピアノを確認してからクレッシェンドする。
【7f】リズム練習。
【8a】それぞれのスラーをディミヌエンドで吹くための練習。
【8b】このシンコペーションは、それぞれの音が小さなディミヌエンドになるように吹きます。
【9a】ディミヌエンドの練習。
【10a】まず、スラーで吹いて良い音質を記憶する。
【10b】タンギングして吹く。スラーの時と同じ音質である事を確認する。
【11】ケーラーのオリジナルでは、フェルマータの後はテンポプリモになっていますが、ア・テンポの方が良いと思います。この件に関してはシンフォニア版の校訂をされた植村泰一氏が、そう述べていました。私も同感です。
【11a】カデンツァは急がないように、途中からテンポを緩めてターンは語るように吹くのが良いと思います。